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『白く目映く』ではフォルミカが熱弁しました。てか、させました。
何%を彼女の台詞が占めていたのかを考えると空恐ろしくなる程彼女が語りまくっちゃいました。 ま、出番の無い脇役もこうやって活躍をば。 ◆閑話休題◆ 化粧が濃ゆいという噂のあるフォルミカですが、こうまでも出張ってくるとは・・・。 プレイ中にはこんな長い演説は垂れませんでしたよ。 90%は私の創作になってしまいましたよ。 だってこの演説はきっちり書かないと話の展開としてどうなんよ?っておもったのさ。 任務内容聞いてあっさり引き受けたら、この任務の重大さが伝わらないし、フォルミカの行動の理由がイマイチ分からないしね。 彼女の弁舌はどうだったでしょうかね? そこはかとなくダークオーラを醸し出せるようにしたつもりなのですが、解釈によってはまったくの白に読み取れますね。 私の中ではフォルミカはかなりの役者。 ツムギを愛するために評議会と戦うという動機はあったでしょうが、本当にそれだけなのかは怪しいところです。 この戦いの中、リプレイ中ではまったく出て来ない赤銅の歌姫は評議会・『白銀の暁』の両方に加担します。彼女は自分が持つ奏甲の知識や技術を用いてその戦局を操ろうと、商人のギルドと結託して暗躍しています。本来ならば赤銅の歌姫がそんな事をするというのは、その与えられた役目からいうと大きく逸脱しています。彼女は奏甲の知識の管理をする事が役目。それなのに、その知識を白日の下に曝け出し利用し、新たにこれから築かれるであろう世界で実権を握ろうと画策していたのです。 評議会とフォルミカたちも同様ですよね? 彼女らは自分達の正当性や、英雄や歌姫のためといいながら戦っていますが、それは自分達の意見を押し通すため。もしも勝てば、世界は勝った側の勢力が握る事となり、その勢力が掲げていた言葉が正しいとされ、以前とはまた違う秩序の元に世界が構築されるでしょう。 彼女らがいくら大義名分を掲げたとしても、それはつまるところ単なる勢力争いに過ぎないのです。 そんな渦中の只中にいるフォルミカが果たして愛のためだけに動くのでしょうか? 評議会と同じように彼女だって黄金の歌姫がいない間に、彼女の意を解さぬ行動をしているのではないでしょうか? もちろん、愛のため、平和のためといって戦っているのだと考える事も出来ます。 だがしかし、彼女は歌姫の頂点にほぼ近い、『白銀』という地位まで上り詰めた女性です。そこへ駆け上がる事は並大抵の能力の者では不可能でしょう。ただ歌姫としての能力が優れているからといったような理由ではなれない地位だと思われます。 そんな彼女が果たして・・・・・・?と、私はどうしても考えてしまいますがどう思いますか? ◆第10話 2 『決断』◆ 「黄金の歌姫の説得に当たってもらえないでしょうか?」 「それでも納得していただけない場合、あなた方に黄金の歌姫を殺害していただきます。」 フォルミカに告げられた新たな任務、もしもの場合は黄金の歌姫を殺害する事も辞さないその強固な姿勢。 果たしてこれは、本当に良いのだろうか? 元白銀の歌姫の熱弁に心動かされたソラたち。彼女の『世界を変えたい』というひた向きな思いは、どのような結果をもたらすのであろうか? 世界は、どんな音を奏でるのであろうか・・・・・・? フォルミカの言葉を聞いたソラたち。 彼らはフォルミカの任務を了承した。 シェリルは一人、ソラの奏甲の上に座って夜風に当たっていた。 何となく城にいるのが躊躇われたのだ。 一人になりたかっただけなのかもしれない。 奏甲の足元では、まだ灯りが点いており、せわしなく人が行き来している。整備点検のやり取り、物資の確認の声、雑踏の音。そんなざわめきも、奏甲の上では別の世界で起きている物音のようで、どこか現実味が無い。 星を見ているわけではなかった。空と地上の間の何処かをぼうっと眺め、シェリルは物思いに沈んでいた。 先ほどのフォルミカとのやり取り、ソラの答え。 戦争のないのが当たり前の日本で育ってきた彼らが、戦争など速く終わらせるべきだと考えるのは至極当然の事だっただろう。 シェリルもその考えに反対ではなかった。 確かに戦いを終わらせるには良い方法である。 でも、全ては黄金の歌姫が了承してくれればの話・・・・・・。 自ら抜け出したポザネオ島であったが、こんな事を目的として再度訪れるとは思っていなかった。そして、再びあの人に会うこととなるとは・・・・・・。 黄金の歌姫を殺ろさなければいけないような状況にはさせたくない。 ポザネオ島で子供の頃は育ったシェリルにとって、黄金の歌姫は遠い存在ではありえなかったのだ。故郷と強く結びついている存在であった。 自分が信じる道は何処なのだろうか? 時間ばかりが過ぎてゆく。明日にはもう出発しなければいけないというのに。 ※このエピソードを前は間違って決闘が起きる直前に入れてました。だから、前はバルコニーで物思いにふけっていたわけですよ・・・・・・。 そして、夜が明けた。 ポザネオ島までは、なんと、フォルミカが用意した飛空船で行く事となった。巨大な飛空船に奏甲を積み込み、必要な食料などの物資も詰め込んだ。 陣地では見送りに集まった者達でにぎわっていた。その中には、ガイア、オルテガ、マッシュの3人や、評議会から解放した歌姫達などもいた。 あれ? 今気付いたけど、極秘任務じゃないんだね・・・・・・。 普通に見送られて旅立ってるや。ヾ(;´▽`A`` 黄金の歌姫のところへ向かうという事で、歌姫達は心配そうだった。 一行が現れると、皆、不安を口にした。一人の歌姫がシェリルに問いかけてきた。 「お姉さま、黄金の歌姫は、アーカイアはどうなるのでしょう?」 シェリルは安心させるように柔らかく微笑んだ。 「心配する事はありません。私達は戦いに行くわけではありません。安心してここで待っていてください」 ツムグはシェリルの後ろで控えてその言葉を裏付けるかのように、悠然としている。 別れの挨拶をつげ、一行は船に乗り込んで行った。 船の中で姫イベントを起こしたような気がしなくもないけど、忘れたのでカット。 そして数日が過ぎ、目的の場所、ポザネオ島に徐々に近づいていった。 シェリルはポザネオ島が近づくにつれて少しずつ何か神経質になっていくようであった。 長年、神と同じように慕った黄金の歌姫に会い、戦争を止めるように求めねばならないのだ。しかも、下手をすれば黄金の歌姫を殺さなくてはならないのだ。 アーカイアで生まれ育った彼女にとってそれは非常に苦しい選択のはずであろう。 ソラ、アヤメ、ツムグの3人はシェリルの事をそっとしておく事にしたのだった。 夕日で鮮やかに彩られる空の中で、シェリルは再び一人となって甲板に出ていた。 母から貰った拳銃を両手で包み込むように握り締め、佇んでいた。 「心配しても、しょうがないよね・・・・・・」 最後に見たときの母を思い出しながら呟いた。 あれからもう10年以上経っている。母は私の事を思い出す事が出来るだろうか。 いや、きっとそんな事は無いだろう。 思い出せるはずなど無い。 変わってしまった母の姿を見て、もうこの島には自分の居場所など無いのだと悟った。 そうと分かってから、自分は歌姫の資格を急遽取り、あの島の外へと出た。 それは最後に母に言われた言葉、『貴方は貴方の信じた道を行きなさい』という言葉に従うものでもあった。居場所の無いポザネオ島を捨てて、以前から興味のあった外の世界で自分の道を生きていこうと思ったのだ。 そして、外へ出てからはしばらく各地を廻った。 しかし、島の外へ出たからといって、居場所などが簡単に見付かるはずも無く、結局ブラブラとしているうちに、ハルフェアの首都ルリルラへと流れ着いてしまった。 そこで何かをやるというわけではなく、賭け事に興じ、日々をただ無為に過ごした。 二度と戻らないだろうという場所に、未練を残し、目の前の生活も疎かとなり、全てが中途半端であった。 これが自分の信じた道だったのだろうか? あの島で、自分がするべき事が本当はあったのではないか? 出てきてしまった事は、良かったことなのだろうか? そんな疑問を一時期は抱いていたが、次第に惰性的な日々に慣れてしまい疑問に思うことすらもなくなった。 そんな時、ソラと出合ったのだ。 それからずいぶんと周囲が様変わりした。 評議会の言われるままに戦った事もあった。幼い頃からの信頼は変わっていなかったからだ。 だが、白銀の歌姫であったフォルミカたちに出会い、英雄と奇声蟲の真実、評議会が裏で行ってきた事を知り、評議会を信じることはできなくなった。 そして、同時にソラとの関係も変化した。 奇声蟲を倒すためのパートナーというだけではなく、この世界の現状を変えるための仲間となった。 その時、ソラと交わした約束は忘れていない。 ソラを元の世界に返す。そして、もう一つ。 もしも、ソラが蟲になってしまったら、その時はシェリルが彼を撃つのだと。 それは、ソラを信じ、自分もその約束に悔いないように生きようと決めたという事でもあった。 やっと、自分が信じた道を歩んでいるのだと思えた。 私は、ソラたちと共に世界を変えるために再びポザネオ島へと戻った。 そして、真実を全ての歌姫に告げ、確実に世界は動き始めた。 『白銀の暁』に加わり、新たな戦場を駆け巡った。 沢山の敵となった英雄達を葬ってきた。 世界を変えたいと願った。それが自分の信じた道なのだと思っていた。 だが、あの時のソラの慟哭を聞いたシェリルはもう一つの思いもあった。 これ以上、ソラが苦しませたくない。 この手が血で汚れてしまったと嘆いていたソラ。 先日の戦いでも再びその手で人を切っていた。 彼は何も言わない。 だが、言わないからと言って、平気だとは限らないだろう。世界を変えるため、その苦しみは仕方のないことなのだろう。 だから、こう思わずにはいられない。 彼をこんな事に巻き込むのではなかったのだと。 だが、今彼が戦渦の只中にいるのは彼の意思である。 先日の決闘はその証明のようにも思えた。 彼は徐々に変わり始めている。 人を切るという行為が嫌だと言っていたのに、進んで決闘に望んだ。 あの時、ツムグが反対していたのも理解できる。 彼は変わってきているのだ。 ハサンとの戦いにより、世界を変えるための重責を感じ何かが彼の中で変わったのかもしれない。 若しくは、戦いを通じて感覚が麻痺してきただけなのかもしれない。 しかし、ソラがアーカイアへとやってきてもうだいぶ経つ。知らず知らずのうちに幻糸がソラの体に何かしらの影響を与え、彼の思考を少し変化させたという事も考えられるのではないか? やはり、早く彼を返さなくてはならない。 『黄金の歌姫』に会えるというのならば、現世へと英雄を戻す方法がないか問うのもいいだろう。 今のまま、ソラを戦場に、アーカイアにとどめる事はあってはならないのだ。 再び、心の中に疑念が湧き出す。 これが自分の信じた道なのだろうか、と。 苦しませないようにしたいと願ったはずなのに、苦しませ続けている。 だが、今の自分には今ある方法でしかやってこれなかったというのも事実だった。 他に道はなかった。 これから、再びあの島へと戻る。 そして、今度は『黄金の歌姫』に会うのだ。 私は、何を信じ、何を願えば良いのであろう。 戦いは嫌だ。これ以上、ソラたちを戦場に立たせたくはない。 だが、それを押し通す為に『黄金の歌姫』を殺害する事は絶対に出来ない。 殺したくは無い。絶対に。 だから、ソラたちに話さなくてはならないだろう。 私と母と、『黄金の歌姫』との関係を。
by ama_no_iwato
| 2006-08-24 19:50
| 『追想曲をあなたに』
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